マンションにまつわるトラブルにはこんなものがある

マンションには、考え方も価値観もまったく違う人が同じ建物の中に一緒に住むことになります。多少の生活音などはお互いさまということで目をつぶることもできますが、時には生活に支障が出るほどのトラブルに発展することもあります。

マンションでよくあるトラブルには以下のようなものがあります。

騒音
マンションのトラブルで一番多いトラブルです。生活するうえでどうしても出てしまう音もありますが、子どもやペットの声がうるさい、音楽を大音量でかけるなどは非常に迷惑です。マンション以外の住人から苦情がくることも考えられます。

建物の損壊
マンションの設備や共用部分などの損壊、上の階からの水漏れ、地震や台風などの災害による建物の損壊するなどがあります。

異臭
ごみの匂いやペットの匂い、ベランダでの喫煙などがあります。においの感じ方は人それぞれですが、あまりにひどい場合は改善を求めなければならないこともあります。

ルールを守らない人がいる
ゴミを指定日以外の日に出す、分別をしない、ペット禁止なのにペットを買っている、マンションの管理費を滞納している、商業目的の利用禁止にも関わらず、自室でエステなどをやっているなど、マンションの規約に従わない人がいることがあります。

暴力団関係者が住んでいる
最近は法律がきびしくなってきているため、暴力団関係者が住むことは少なくなってきているようですが、隣近所の交流があまりないマンションでは発覚しにくいことがあります。この場合は区分所有法にのっとって、立ち退きを求めることが可能です。

以上のようなことが自分の住んでいるマンションでおきた場合、騒音や異臭は当事者同士の話し合いで解決できるものもあります。個人で改善を申し入れる場合は、いきなり攻め立てるような口調で言うのではなく、どの時間帯のどの騒音や異臭が気になるのかを、なるべく具体的にしましょう。

原因がわからなければ、相手も何を改善していいのかわかりません。悪気なくやっていることも案外と多いのです。

ルールを守らない、何度注意をしていても改善する様子がないなど、個人の手に余る場合は管理組合で解決する必要があります。一人で我慢したり、個人で解決しようとすると関係が余計に悪化してしまうことがあります。

ただし、ここでも感情的になるのは禁物です。あくまで冷静に話し合う態度でのぞみましょう。それでも解決できない場合は、区分所有法に基づいて立ち退きを求める訴訟を起こすことも視野にいれたほうがいいかもしれません。

投資目的で所有している部屋を貸している場合、入居者が上記のようなトラブルを起こせば、所有者に解決する義務があります。その部屋に住んでいなくても自分が住んでいなくてもトラブルに巻き込まれる可能性があるのです。

不動産購入で本当に一番気をつけなければいけないリスクは、本当は人間関係なのかもしれません。投資目的で部屋を貸している場合は、上記のようなリスクも想定しておく必要があります。

マンション管理会社はどんな仕事をしているの?

マンションを購入したさいに、必ずお世話になるのが管理会社です。マンションは管理組合を設置することが義務づけられていますが、住人だけでマンションの管理すべてを行うのは限界があります。

そこで管理会社に委託することになるのですが、どんな仕事をどこまで管理会社にお願いするのかは、マンションによってちがってきます。マンションの管理業務には、以下のようなものがあります。

・事務管理業務
組合費(修繕費の積み立てなど)の会計業務
組合理事会・総会の補佐
報告・連絡事務

・管理業務
受付業務
マンションの点検・検査業務
設備の点検
立会業務

・清掃業務

これらの業務の一部だけサポートをお願いして、補佐的業務をしてもらうマンションもありますし、すべてをお任せしてしまうことも少なくないようです。

すべてを管理会社にまかせる場合は、住人の負担が少なく、管理上のトラブルが起こることが少なくなるメリットがあります。しかし、住人がマンションの管理に無関心になったり、管理費用の負担が大きくなるなどのデメリットがあります。

一部のみを委託すする場合、どんな業務を委託するかはマンションによって違ってきます。メリットとしては、管理費用を節約できることが挙げられますが、理事会や総会がスムーズにいかない、組合員の負担が大きくなる、修理や保全業務を直接発注にするため、会社との折り合いがつきにくいことがある、などのデメリットがあります。

管理会社に頼らず、すべて自分たちで管理するという選択肢もありますが、よほど管理業務に精通した人がいないかぎり、組合が上手く運営できませんし、住人のに負担がかかりすぎます。ある程度は管理会社に委託しているマンションがほとんどのようです。

管理業社には大きくわけて、ディベロッパー系と独立系の2種類があります。ディベロッパー系はマンションを建てた建設会社のグループ会社に属する管理会社です。ディベロッパー系のメリットは、建設会社と連携しているため、建物に関する情報が多く、なにかトラブルが起きたときの対応が早いことが多いようです。

しかし、住人側が指定した管理会社ではないため、何か問題があっても管理会社を変えにくいとう欠点があります。また、建設会社のグループ会社であるため、建設会社の意向によっては住人の意見が通りにくい、費用が割高になるなどのデメリットもあります。

独立系管理会社はディベロッパー系に比べると費用も低めに抑えられる傾向があります。グループ会社のようなしばりがないため、柔軟な対応が期待できますが、建物に関しての情報が少なく、対応が遅れる可能性もあります。また、コストを優先すると充分な管理ができない可能性もあります。

どちらの管理会社にもメリットデメリットがあります。どんな管理を任せたいのかを明確にして、そのマンションにあった管理会社を選ぶのが理想ですが、自分ひとりで決められることではないので、まかせっきりにしないで、自分も組合に積極的に関わっていこうという心構えが必要になるかもしれません。

貸している部屋で犯罪が発生!どう対処するべき?

マンションのトラブルは地震や災害などの天災によるものだけではありません。犯罪に巻き込まれた場合の対処も考えておく必要があります。

例えば、自分が貸している部屋の住人が逮捕されてしまったら、どんな対処をすればよいのでしょうか?もしテレビや新聞でその事件が大きく報道されたら、他の部屋の住人や近所の人の生活に大きな支障が出る可能性があります。

そうなったら、一日でも早く契約を解除したい!というのが本音でしょう。しかし、借主は塀の中です。契約解除の手続きはどのように進めればよいのでしょうか。

まず、逮捕されたことを理由に賃貸契約を即刻解除することはできません。逮捕されただけでは法的には無罪です。契約解除は裁判で有罪が確定してからでなければできないということになります。

ただし、例外もあります。以下のような場合です。

同一物件の居住者に暴力、盗撮など明らかな犯罪行為を行った場合。
放火、暴行、殺人などの凶悪犯罪を犯した場合。
暴力団関連の犯罪に関わっている場合。

以上のようなケースに関わっていると証明できれば、借主の同意を得ることなく契約解除が可能です。逆に言えば、軽微な犯罪程度での逮捕での契約解除は難しいと言わざるをえません。

一刻も早く契約を解除したければ、借主に面会し、契約解除を求めなければなりません。借主が契約解除に同意すれば、『合意解除』が成立したことになり解約手続きを進めることができます。

契約解除の同意が得られなかった場合は、家賃滞納を理由に解除する方法もあります。家賃の支払い方法が振込や手渡しなどの場合、支払いすることは不可能な状態です。これが3ヶ月以上続けば、滞納賃料を内容証明で督促し、期日までに支払いがなければ訴訟を起こして、ようやく契約解除ができます。

しかし、家賃をカードで支払っていた場合や、保証人が家賃の支払いを続けるなどして滞納がない場合は、この方法では契約解除できません。裁判の判決を待って、借主と交渉することになります。

拘留が決定した場合、契約解除に応じる借主がほとんどですが合意が得られなかった場合は、明け渡し訴訟を起こして退去を求めることになります。なんとも気の遠くなるような話です。

しかも、契約を解除した後にも問題は残ります。部屋に残された借主の私物を勝手に処分することは法に触れます。『合意解除』と同時に、『残置物に関する所有権放棄の合意書』『残置物の処分同意書』もとっておく必要があります。

この手続きをせずに勝手に部屋の中のものを処分してしまったら、出所した後に損害賠償請求されても文句は言えません。勝手に処分することだけは絶対にやってはいけません。:

同じ建物で自分が所有、使用している近くの部屋で犯罪が起きて、何らかの被害をこうむった場合、例えば上の階の部屋で起こった暴力行為、破壊行為で水漏れなど生活に支障をきたすようなことがあったとしても、保証弁済をもとめるのはさらに困難です。

犯人は事件そのものの容疑者であり、裁判で争われるのは、その犯罪の直接の被害者に対する罪状だけです。その犯罪であなたの所有する部屋が何らかの被害をこうむって弁済を求める場合は、あなたが原告になって民事裁判を起こすことになります。

日本の裁判は判決が下るのが非常に遅いことで有名です。また日本の法律は加害者に非常に甘くなっているのが現状です。勝訴の見込みはほとんどなく、担当してくれる弁護士すら見つからないかもしれません。勝訴しても相手にめぼしい財産がなければ泣き寝入りということも珍しくないのです。

自分で動かないかぎり、誰もあなたの資産を守ってくれないことは知っておいてください。

マンションを賃貸に出したい!注意すべきこととは

仕事や家庭の事情で自宅が空家になってしまうことがあります。長く住んでいないと、家が傷んでしまうし、将来的には戻ってきたいので売るわけには…。ということで、自宅を賃貸に出す人も少なくありません。

借り手が見つかれば、毎月家賃収入が入るというメリットがあります。しかし、見ず知らずの人に貸すのですから、当然リスクもあります。自宅を賃貸に出した場合のリスクは以下のようなものがあります。

借り手が見つからない
入居者がいなければ、その月の家賃収入はゼロ。しかし、管理会社には一定の管理費用を払う必要がある。家賃収入をローンにあてている場合は、自分の貯金などを取り崩して払う必要がある。

劣化・損壊の危険性
入居者によって建物に著しい損害が加えられることがある。勝手に壁に穴をあけて生活配線を入れる、ペット禁止にも関わらず、犬などによって壁や柱を壊される、退去の際、エアコンなどの設備を持ち去られるなどがある。

入居者と近所のトラブル
入居者がごみ出しのルールを守らない、騒音など隣近所に迷惑をかける可能性がある。

家賃の滞納
入居者が決められた家賃を払わない可能性がある。滞納したまま、勝手に退去する可能性もある。

事故・災害
地震や台風などの災害が起こった場合、修繕費がかかる。また、建物の欠陥で入居者に何らかの被害があった場合、金銭的な保証を求められる可能性もある。

借り手がなかなか見つからない場合は、募集方法に問題があるか、競合する住宅やマンションが多く、借り手がみつからないなどの可能性があります。この場合は、不動産会社に問題があれば、他の会社に買える、何か付加価値をつけるなどの対処法を考える必要があります。

入居者がトラブルをおこした場合は、どんなトラブルが内容をなるべく早く把握する必要があります。入居者を決めるさいは、年収や勤め先などを把握して人柄をあるていど推察する必要があります。管理会社に任せることも多いですが、担当者にどんな感じの人かも聞いておいたほうがいいでしょう。

入居者がトラブルをおこした場合は、家主に対応義務がありますが、不動産管理経験のない人が未払い家賃の回収や損害請求の対応をするのは困難です。自宅を貸す場合は、不動産会社に管理を委託したほうが懸命といえます。

また、トラブルを少しでも回避するには『定期借家契約』を選択する方法もあります。賃貸契約は二年ごとに契約を更新する『普通借家契約』がほとんどですが、『定期借家契約』は一年以上の一定の契約期間で契約が終了となります。

契約期間が短く、後に自分で住む可能性のある人には有効ですが、契約期間の短い物件は敬遠されることも多く(入居者と貸主の合意があれば契約の延長は可)、入居者が見つけにくいという欠点もあります。

貸す前に、いつ持ち家にいつ戻るのか、何年くらいなら貸し出し可能かなど、明確な期間を出しておく必要があります。また、管理体制のしっかりした不動産会社を見つける必要があります。

1 2 3 4 5